愛してるって言って
早足で昇降口まで歩いて、靴を替えてから外へ出た。


その瞬間から、視界は桜で埋め尽くされる。



「綺麗」


「うん」



無意識に足を止めて桜の木を見上げた。


でも、突然女の子の「キャーキャー」と叫ぶような声が耳に入ってきた。


凄く癒されているこの空間には不釣り合いの声。


その声の方へと視線を向けると、グラウンドの回りにはたくさんの女の子がいた。


どうやらサッカー部を見ているらしい。



「カッコイイ人でもいるのかなぁ」



興味津々に目を輝かせている梢をよそに、あたしは正門へと急ぐ。


でも、そのグラウンドの横を通り過ぎようとしたとき、



「涼夏!」



という声が響いてきた。
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