愛してるって言って
「俺、もうすぐ終わるから、一緒に帰ろうぜ」



圭ちゃんはそう言ってくれたけれど、



「今日は寄るところがあるから無理」


「寄るところ?」



圭ちゃんはそう言って、眉間に皺を寄せながらさらに言葉を続ける。



「こんな時間からどこに寄るんだよ」



確かに5時半に学校を出てどこかへ寄るなんて、変に思われてもしょうがない。



「内緒」



でもこれから寄る場所は、圭ちゃんだけには知られたくないかもしれない。



「怪しいなぁ、ちゃんと親には言ってあんの?」


「うん」



ママには行き先を教えてあるし、遅くなることも知っている。


だから、大丈夫。
< 8 / 376 >

この作品をシェア

pagetop