one LIFE。



「………海里。」


俺ってこんなに弱かったっけ。気付けば名前を呼んでる………。


ピロピロピン


携帯が鳴った。この着うたは海里だ。一体どうして電話を?
とにかく俺は電話にでた。


『ま、さや?』


海里の声は涙声で胸が締め付けられる。


「………ん?」


『ごめんなさい………。』


謝る意味はなに?別れるからなのか?俺は嫌だ………。
そんなとき、向こうで男の声がした。


『ほら、貸せ。』

『うぅっ。』


なんなんだ?


『もしもし?』


低い男の声がした。たぶんさっき海里と一緒にいた奴だろう。


「なに?」



『そんな威嚇しないでよ。俺は海里の幼なじみの卓巳(タクミ)海里が話せないから俺が話してもいいかな?』



「あぁ。」



『君、俺と海里が二人でいるの見てたでしょ?あれは海里が君のこと相談してただけだよ。「別れたくない」って言ってたよ。だから今謝った。ぢゃぁ海里に替わるね。』



海里がそんなことを……。嬉しいけど相談相手が男なのは嫌だ。



『ま、さやぁー。』


「ん?もう良いよ。だから俺んとこ帰っておいで?」


とか余裕ぶっても実は全然余裕なんでないんだ。けどこんな俺に気付いたらきっと海里は幻滅しそうだから教えない。



『今すぐ行くー!!』



そうして電話は切れた。





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