one LIFE。
「………卓巳かぁ。吸ってみるか?」
「兄貴!!海里が泣いてんだぞ!?しっかりしろよ!!なぁ!!」
「海里?海里は大丈夫だ。だって僕のことを愛してるから。」
違うよ、兄貴。そんな兄貴を好きになったんじゃないよ。
「………兄貴。」
俺は兄貴の部屋を出て、海里のもとに戻った。
「悠はもう大丈夫だった?」
俺は首を横に振った。
「悠を助けて!!」
俺には無理だよ、海里。
兄貴はシンナーを吸って死んだ。
頭がイカれて自殺したんだ。何も話さずに………。
シンナーを吸う奴は理由があってやるって聞いた。兄貴にはどんな理由があったんだろう………。
それからの海里は生きてるけど心は死んでいるようだった。今までの海里とはまったくの正反対だった。
そんな海里を俺はどうすることもできなかった。そんな俺をとても悔やんだ。
俺だけが唯一知る過去………。
海里の苦しみ、悲しみ。これからも俺が支えてやろうと思ったんだ。
兄貴は海里のことが本気で好きだったはずなんだ………。
海里には兄貴を好きになったことを後悔してほしくない。あの時の海里が一番幸せそうだったんだ………。