one LIFE。

居残り





海里とのお泊まり会から何日か過ぎた頃。



あたしはとある部屋に先生といる。







「なんで解けないんだ?」




…………………居残りです。




「だってぇ………。」




まったくわからない数学を解けなんて不可能だよ!!



「先生、奇跡はまだぁ?」



「んー?バカな生徒とは無理だろなぁ。」



「あっそ。」



「冷てーな。」




あたしはあれからメイクを変えた。ギャルメイクからナチュラルに変えた。

先生は
『そっちのほうが良いじゃん。』


と褒めてくれた。



「先生、ここわかんない。」


あたしは少し不機嫌そうに聞いた。



「ったく………。」




「……せん……せ」



先生の顔があたしの顔のすぐ前にきた。


あたしは何が起こったのか理解できず



そのままキスした………。



「………わるい。」



謝るようなことじゃないよ。



「なんでしたの………?」



「………気まぐれだよ。悪かったな。」



『気まぐれ』


先生は気まぐれでキスできる人なんだ。

誰とでもできるんだ。



あたしは子供だから先生の気持ちわかんないよ。

なんで好きでもないのに気まぐれなんかでキスができるの?



「遠山?」



あたしの目には涙があった。



「先生、あたし奇跡を起こすのは無理だよ………。あたしは先生みたいに誰とでもなんてしないぃ……うぅ。ぐすっ。………好きになってご……めんなさぃ。」



あたしが先生を好きになったのがいけないんだ。



皆に励まされても先生を目の前にすれば悲しくなる。






< 76 / 136 >

この作品をシェア

pagetop