お嬢様の秘密ー番外編ー
-葵side-


ユリの精神面がだいぶ安定するようになった頃………


今は春休みで、俺は毎日のようにユリの部屋に来ていた。


「葵様、今日は会社の方へ行くんじゃ？」


出迎えてくれた理央兄は心配そうな表情を見せた。


………ポーカーフェイスだから表情の変化は分かりづらかったけど。


「ユリが何も予定ないときは様子見たいんだよ。実家は了承しているから大丈夫。」


真理亜の執事から外れた理央兄は、秋本会長の命令で密かにユリの執事をしているらしい。


バレると面倒くさいから黙れと言われたらしい。


「葵様、何か飲まれますか？今お嬢様は寝ていらっしゃいますので……。」


「じゃあブラックを。………そうか寝ているのか………。」


「と言ってもつい先ほどですよ。昨夜はあまり寝られなかったと仰っていましたし。」


「じゃあ俺は仕事をこの部屋でやろうかな………。吉崎、持ってきて。」


「かしこまりました。」


本当は異性の階は立入禁止なんだがそれを守っているやつは少ないらしい。


クラスメイト情報だ。


ものの数分で持ってきてくれた吉崎はこの後本家の用事があるため帰るそうだ。


ユリの近くの机を拝借し、俺は会社の仕事をやり始めた。




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