恋と友情、時々青春。
『私と一緒に、歌を歌ってほしいの!!』
『なっ...』
突然彼女の口からでた言葉に私は当たり前だが対応できずその場で固まる..
何を言ってるのこの子!?と思う半分、
どこかドキドキもしていた。多分それは、京花の柔らかな笑みの中にも、真っ直ぐ私の目を見つめる眼差しのせいだと思う。
『私、先週見ちゃったの..天野さんが放課後
音楽室で歌ってるところを!』
『え?...』
勿論、思考が停止する。
『あ、あの、私、その日たまたま掃除当番で
ゴミ捨てをしようと思って歩いてたら..そしたらたまたま通りかかった教室から声が聴こえてきて..それで..』
『もうそれ以上言わなくていいから!!』
『あ、その...ごめんなさい』
彼女は本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
とうの私は顔を真っ赤にしていた。まるでトマトだ...
私はよく放課後に音楽室へ行く。特に理由はないが、この学校の中で唯一落ち着く場所が音楽室だからだと思う。
だからと言って特にやる事もないから、本を読んだり、お菓子をつまみながら部活動を眺めたり、そこらへんに置いてある楽器をいじったり、とにかく様々だ。
そう、だからイヤホンから流れてくる好きな曲を歌う時だってある...
彼女が見たのはまさにその時だった。
なんてタイミング...そんな事を頭の中でぐるぐる考えていると続けて彼女が私に訴えてくる。
『勝手に聴いてたのは本当にごめんなさい!
だけど..だけど私!天野さんの歌を聴いた時、胸が苦しくなって...いつの間にか涙が出てきてたの!それくらい!天野さんの歌に私感動したの!』
『...』
全く。本当に彼女には驚かせれてばかりだ...
あの日、私は何を歌ったのだろう?