俺は、お前がいいんだよ。

「伊織、顔…赤くない?」


「は!?」


「もしかして、今…俺を少し意識してくれてる?」


照れくさそうな表情を浮かべる瀬ノ内君から慌てて離れる。


「なっ、何言ってるの!?顔が赤いのは、暑いからだよ…!」


「…そっか。まあ、そうだよな。期待すんのは早過ぎか。」


瀬ノ内君はクシャクシャと頭を掻きながら、空を見上げた。


「今後の俺の頑張り次第だよな。」


「な、何が…?」


意味が分からず首を傾げる。


次の瞬間、瀬ノ内君は熱くなっている私の頬に触れた。


「伊織の心。」


「えっ…」


「誰よりも先に奪うから。」


耳元で囁かれ、心臓が大きく跳ねる。


私を見つめる瀬ノ内君は、とても優しい笑顔でキラキラと眩しく感じた。


さっきよりも熱い…。


頬だけじゃなくて、耳も。


これ以上、赤い顔を見られるのは恥ずかしい…。


私は、ぎこちない動きでバッグの中からスマホを取り出した。



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