俺は、お前がいいんだよ。

「…本当は、断ろうとしたんだ。」


「えっ、そうなの！？」


「だって、お互い好きな気持ちがあるから付き合うわけでしょ？私、瀬ノ内君をそういう対象で見てないし、それ以前に、瀬ノ内君のこと…何も知らないから。」


「じゃあ、なんで……」


「瀬ノ内君に“拒否するのは、ナシ”って言われたの。お互いのことは、付き合う中で知っていけばいいとか、一緒に居るのが嫌になったら遠慮なく振ってくれればいいって言われたんだ…。それで、了承せざるを得なくなって…。」


「へぇ…。選択肢を一つにしちゃうなんて、瀬ノ内君…結構攻めるね。」


攻めるって何を…？


首を傾げる私を見ながら、恵理子はニヤリと笑った。


「でもさ、そんなの…本当に嫌なら、キッパリ断れば良かったんじゃない？」


「えっ？」


「だって、瀬ノ内君の言葉に従わなきゃいけないルールなんて存在しないでしょ？堂々と拒否しちゃえば良かったじゃん。」


「…うん。」


そうだよね…。


何を言われようとも、付き合うのが嫌なら、毅然と断ることだって出来たはずだ。