俺は、お前がいいんだよ。
「だけど、あの時…少し納得してる自分がいたんだ。瀬ノ内君のことを何も知らないのに、すぐに拒否の判断をするのも、どうなのかな…って。」
何としても断ろう…なんて意志は無かった。
「それって、瀬ノ内君が少し気になってるってことじゃない?」
「は!?なんで?」
突拍子のない恵理子の発言に、電車内にいることも忘れて大声を出してしまった。
「付き合うことを断らなかったのは、心のどこかで瀬ノ内君を知りたいと思ってるからだよ!だって…どうでもいい人なら、色々と知りたいとも思わないでしょ。」
「た、確かに…」
「それ、相手を気になり始めてる状態だって!由依が気付いてないだけでさ。」
「そうなのかな…」
うーん…と唸る私に、恵理子はコクコクと頷く。
「そうだよ!瀬ノ内君とお出かけして、自分の心に何も変化なかった?普段どおりだった?」
「変化って言われても……」
私は、途中で言葉を止めた。