俺は、お前がいいんだよ。

「そう言えば、瀬ノ内君の言動に心臓が妙にドキドキしたり、鼓動が速くなったりしたんだよね…。他にも、顔がカアッと熱くなったりとか…。家に帰った後も、その不思議な症状が暫く治まらなくて…。」


あんなこと初めてだったな…。


光景を思い浮かべていると、恵理子は私の両肩にポンと手を置いた。


「それ、気になり始めてるどころか、かなり意識してる段階じゃん。」


「へ…?」


「由依、瀬ノ内君に恋してると思うよ?」


「えぇっ!!」


私が…恋をしてる!?


「ま、待ってよ!そんな急に恋するとか…有り得る?」


「前に由依に言ったでしょ?“ある日突然…恋に落ちちゃう”って。何の前触れもなく、いきなり始まったりするんだよ、恋は。」


「でもさ、もしも恋してるなら、“好き”って気持ちが芽生えるんじゃないの?私、そんな実感…ないよ。」


眉をしかめる私を見て、恵理子は微笑ましそうに笑った。


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