俺は、お前がいいんだよ。
「それは、由依が自覚してないだけ。恋の症状は出てるんだし、そのうちに気付くんじゃないかな…。瀬ノ内君への“好き”に。」
「まだ、好きと決まったわけじゃないんですけど…。」
「はいはい。」
軽くあしらう恵理子。
でも、なんだか嬉しそうな表情だ。
「由依にも、ついに恋の季節到来かぁ…。恋バナ、ちゃんと聞かせてね!」
「な、何言ってんのよ。恋してるかどうかもアヤフヤなのに…。」
「よーしっ、私も素敵な彼氏…見つけられるように頑張ろっと!」
人の話、聞いてないし。
気合いを入れてる恵理子に苦笑をしてしまう。
そうこうしているうちに、あっという間に桜瀬駅に到着した。
同じ高校の生徒や通勤する会社員たちに紛れて、恵理子と一緒にホームを歩く。
「今日の夕方、予報だと雨が降るらしいよ。由依、傘持って来た?」
「いつも、折りたたみ傘を入れてあるから大丈夫。でも、凄くいい天気だから降りそうにないよね。」
そんな話をしながら改札を出た私たち。
駅の外に出ようとした時だった。
「…由依!」