俺は、お前がいいんだよ。
なんなのよ、その強引な理論。
きっと、いくら主張をしても陽希は自分の意志を曲げないんだろうな…。
ショッピングモールに行った時も、殆ど手を握られっぱなしだったし。
仕方ない。
周りの目を気にしないようにしよう。
そう決意しながら足を進めていると、陽希が何か思い出したらしく、“あっ!”と声を零した。
「そうだ、由依に言うことがあった。」
「突然、何?」
「ありがとう。」
「えっ…?」
一体、何に対して…?
首を傾げる私に、陽希は笑顔で言葉を続けた。
「妹、誕生日プレゼント…すげぇ喜んでた。早速、今日からペンケースもファスナーチャームも使うって言って、上機嫌で学校に持って行ったし。」
「そっか!気に入ってもらえて良かったね。」
「ああ。だから、由依には感謝してる。一緒に選んでくれて、本当にありがとう。」
嬉しそうな陽希の表情に、こちらまで笑顔になってしまいそうだ。