俺は、お前がいいんだよ。
だけど、先行するのは笑顔よりも照れくさい気持ち。
「そ、そんなに何度もお礼言わなくてもいいんですけど…。」
返事は、素っ気ない言葉。
“どういたしまして”とか笑顔で言えればいいのに…。
愛想ないな…私。
「本当は、このことを妹の誕生日当日に伝えたかったんだけど、俺…由依の連絡先を知らなくてさ…。」
「そ、そんなの別にいいよ…。こうして、今…聞いたんだし…。」
「だけど、今後…何か連絡が必要な時とかあるかもしれないし、由依の番号とアドレス…聞いていい?」
「えっ…」
「付き合い始めたし、一応…お互いの連絡先とか交換しといた方がいいかと思って…。」
そっか…。
確かに、いざという時の連絡手段がないと不便だよね…。
まあ、そんなことがあるかどうか分からないけど…。
「うん、分かった。」
バッグからスマホを取り出す。
「あ、俺がやるよ。ちょっとスマホ貸して?」
差し出された陽希の手のひらにスマホをのせた。