俺は、お前がいいんだよ。
落ち着く腕の中
もし、これが本当に恋だとしたら…
私は陽希のどこに惹かれてるんだろう…。
「由依?」
「…………。」
「ちょっと、由依ってば!」
ハッと我に返ると、なぜか私の隣の席に座っている恵理子の姿が目に映った。
「えっ、どうして恵理子がここにいるの!?」
「さっきの話、聞いてなかったの?数学の先生、急用が入ったらしくて、授業が途中から自習になったじゃん。だから、由依と一緒に出された課題やろうと思って。」
恵理子は黒板を指差す。
そこには数学の先生の字でテキストのページが書かれていた。
「そっか、今…5限の数学なんだっけ…。ごめん、考え事していて何も聞いてなかった…。早くやらないとね…。」
慌ててテキストを広げようと手に持つと、恵理子はニヤリと笑みを浮かべる。
「考え事って、瀬ノ内君のこと?」
「えっ!?」
ビックリした私は、テキストをバサッと落としてしまった。