俺は、お前がいいんだよ。
朝、私と陽希が駅から一緒に歩く姿を目撃した女の子たちが、学校で直ぐにそのことを広めたらしい。
あっという間に、情報はたくさんの女の子たちへと拡散されてしまった。
おかげで、朝のホームルームが始まるまで、事実確認をする女の子たちに囲まれるハメに。
お昼休みも、教室に押し寄せてきた不機嫌そうな表情の女の子たちから逃げていたら、お昼を食べ損ねてしまったのだ。
陽希が女子から人気があるのは、恵理子に聞いて知ってたけど、まさか…これほどの反響があるなんて…。
これなら堂々と付き合うよりも内緒で付き合ってた方が良かったような気がする…。
今さら、後悔しても遅いけど。
はぁ…と溜め息を漏らした。
「あっ、由依…。」
「ん?」
「あのさ、今日の放課後って瀬ノ内君と帰るの?」
先ほどよりも控えめな声で聞かれた私は、うーん…と唸りながら首を傾げる。
「分からない…。特にそういう約束もしてないから、個々に帰るかも…。」
そう口にした途端、恵理子は顔の前でパンッと両手を合わせた。