俺は、お前がいいんだよ。

「何も抱きつかなくても…。他の生徒が不審がってチラチラ見てるよ。」


慌てて恵理子を引き剥がす。


「ごめんごめん…。つい…感情が溢れちゃって…。ありがとね、由依。このお礼は、後日…改めてするから。」


「お礼なんていいって!ところで、図書当番は私の他にいるの?」


「もちろん!2年生の女の人が当番だよ。」


「女の人…?」


その人、陽希の熱狂的なファンだったりしないよね…?


もしそうだったら、二人で図書当番はやりにくいものがある…。


私の考えてることが表情に出ていたのか、恵理子はポンと私の肩に手をのせた。


「あ、そうそう。その先輩…彼氏いるし、瀬ノ内君のファンじゃないから大丈夫だよ。サバサバしてるけど、優しくていい先輩だから。」


「そ、そっか。」


それ聞いたらホッとした…。


胸をなで下ろしながら、ようやく自習に取りかかった。


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