俺は、お前がいいんだよ。
「今の聞いてたよね?図書当番だから少し帰りが遅くなるんだよ?」
「分かってるよ。その間、俺も時間潰すから平気。実は、誠からバスケ部の練習試合に助っ人で参戦してくれ…って言われてたんだ。由依と帰るから断ったんだけど、そっちに行ってくる。」
「えっ…」
「終わった後、昇降口で待ち合わせる?それとも、俺が図書室に迎えに……」
「しょ、昇降口でいいよ。わざわざ来てもらうのは悪いし…。」
というより、迎えに来てもらうのは少し恥ずかしい…っていうのが本音。
「分かった。じゃあ、また後で。」
陽希は優しい笑みを零した後、スタスタと教室を出て行く。
歓声を上げる女の子たちのことは、一切無視だ。
「………。」
結局、一緒に帰ることになってしまった…。
もともと、バスケ部の練習試合に参加して欲しいって頼まれてたみたいだし、仕方ないか…。
それはそうと、早く図書室に行かなくちゃ…。
女の子たちの羨ましそうな視線や冷ややかな視線を浴びながら、スクールバッグを肩に掛けた私。
教室を出て、図書室へと急いだ。