俺は、お前がいいんだよ。

「えっと、あなたは…」


「あ、私…1年1組の伊織と言います。今日、恵理子が急用で図書当番に出れなくなったので、代わりに来ました…。」


「恵理子…ああ、桂坂(カツラザカ)さんのことね、了解。私は2年の栗橋(クリハシ)。今日は宜しくね。」


「はい、宜しくお願いします。」


図書室に着いた私は、既に来ていた2年の先輩に事情を説明。


二人でカウンターに座ると、栗橋先輩が私をチラチラと見始めた。


「えっと、伊織さん…って言ったよね?もしかして、瀬ノ内君と付き合ってる…って話題になってるの、あなたのこと?」


「は、はい…。そうです…。」


「そっか。うちのクラスでも女子が大騒ぎしてたから。一日中、あなたたちの話で持ちきりだった。」 


「そうなんですか…。」


本当に凄いことになってるな…。


情報の回るスピードの速さに改めて驚いていると、栗橋先輩は優しく笑った。


「まあ、色々と言う人もいるかもだけど、気にせず堂々と付き合えばいいと思うよ。だって、瀬ノ内君の彼女は伊織さんなんだから。」


< 128 / 350 >

この作品をシェア

pagetop