俺は、お前がいいんだよ。
その後…図書当番をこなしていき、残すところ20分ぐらいで終了…という時だった。
「伊織さん、あのね…」
突然、スマホに電話が掛かってきた栗橋先輩。
話が終わった後、気まずそうに切り出した。
「今、母から電話で…直ぐに帰って来てくれって言われたんだ。」
「何かあったんですか?」
「私の家、パン屋なんだけど…バイトの子が体調崩して帰っちゃったみたいなの。急なことだから、お店がバタバタしてるらしくて…。」
「大変じゃないですか!早く帰って下さい。ここは、私一人で大丈夫ですから。」
図書室には私たち以外、もう生徒はいない。
あと少しで図書室を閉める時間になるし、栗橋先輩が帰っても問題ないだろう…。
「でも…」
「本当、大丈夫ですって!最後に戸締まり確認をシッカリして退出すればいいですよね?」
「ええ。あと、図書室に鍵かけて…その鍵を職員室に返して貰って終わりなんだけど……」
「分かりました。じゃあ、先輩は早く行って下さい…。」
私の言葉に先輩は申し訳なさそうに頷くと、図書室の鍵をカウンターの机に置いた。