俺は、お前がいいんだよ。

「きゃっ…」


咄嗟にカウンターの下に体を丸めて潜り込んだ。


や、やだ…停電!?


私一人だし、暗いし、怖い…。


雷、どっかに行ってよ…。


目をギュッと瞑りながら切実に祈っていると、突然…図書室の扉を開ける音が聞こえた。


あれ、誰か来た…?


もしかして、停電したから先生の誰かが見回りに来たのかな…?


ゆっくり目を開けて、立ち上がろうとしたけれど、カーテンの向こうでピカッと雷が光る。


「やっ…」


間もなく鳴り響いた大きな音にビックリした私は、尻もちをついてしまった。


今の音が聞こえたのか、誰かの足音がこちらに近付いてくる。


こんなところ、先生に見られるの恥ずかしいけど、もう仕方ないや…。


俯きながら、そんなことを頭の中で考えていると、足音が私の直ぐ傍でピタリと止まった。





「………由依?」



えっ、この声…。


私は、ゆっくり顔を上げた。


「陽希……」



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