俺は、お前がいいんだよ。

「どうした?大丈夫か…?」


「う、うん…。それより、どうして陽希がここに…?」


てっきり、先生の誰かだと思っていただけに、驚いてしまった私。


戸惑いを隠せない。


「練習試合が終わって、少し昇降口で待ってたんだけど雷で停電したからさ、ちょっと心配になって来てみたんだ…。」


「そっか…。」


「急に停電したから驚いただろ?」


「うん、まあ…」


停電よりも、近くに落ちた雷に驚いたんだけど、細かいことは…どうでもいっか。


「立てるか?」


「だ、大丈夫…。」


そう言って立ち上がろうとした私だったけど、足に力を入れても立てない。


どうやら、さっきの雷で驚いて尻もちをついた時に腰を抜かしてしまったようだ。


「由依?」


私の様子がおかしいと感じたのか、陽希がしゃがむ。


その瞬間、またカーテンの向こうがピカッと鋭く光った。


「きゃっ!!」


数秒後に轟いた大きな雷の音に肩を震わせてビックリした私。


反射的に目の前の陽希の腕に、ギュッとしがみついた。


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