俺は、お前がいいんだよ。
「由依、もしかして雷…ダメ?」
「…………。」
無言でコクンと頷く。
この状況で“違う”だなんて嘘をつく余裕は無い。
恥ずかしいけれど、素直に認めるしかなかった。
「そうだったんだ…。俺…もっと早く図書室に来れば良かったな。そうすれば、由依も少しは怖さが紛れたかもしれねぇのに…。」
えっ…。
笑ったり、からかったりしないの…?
そんな風に言われると思ってなかっただけに、驚いてしまった。
「ごめんな、一人にして。」
「そ、そんなの…謝ることじゃないでしょ。あ、陽希の腕…掴んだままだった。すぐに離すね…。」
慌てて離れようとした時、陽希は私の背中に手を回す。
そして、包み込むように優しく抱きしめた。