俺は、お前がいいんだよ。
「雨……」
「えっ?」
突然、陽希が呟く。
耳を傾けると、ザーッという雨音が聞こえてきた。
「本当だ、降ってきた…。」
「これで雷も止んでくれるといいな。」
「……うん。」
コクンと頷くと、陽希は再び私の頭を優しく撫でた。
なんだか、落ち着く…。
陽希が来るまでは、雷が怖くて、この図書室に一人でいることに寂しさを感じていたのに…。
不安だったのに…。
陽希に抱きしめられたら、波が引いていくかのように、そういう気持ちが消えていった。
この温もりが不思議と心地いいんだよね…。
とてもホッとする…。
陽希が図書室に来てくれて良かった…。
校舎に打ちつける雨音が響く図書室。
カウンターの下で、暫くの間…私は陽希に優しく抱きしめられていた。