俺は、お前がいいんだよ。
これって、いわゆる相合い傘…っていう状態だよね?
成り行きとは言え、同じ傘の中に二人っていうのは、なんだか緊張する…。
距離が近いからかな…。
ぎこちなく陽希の方に視線を向けると、肩のところが濡れていた。
「陽希、肩が濡れてる…!傘、もう少し…そっちにズラしなよ。」
「このままでいいよ。そうしたら、由依が濡れる。」
「べ、別に私は平気。陽希の方が家まで距離あるんだし、濡れたところが冷えて風邪でもひいたら大変でしょ?」
ただでさえ、今日は迷惑かけてるのに…風邪までひいたりしたら…。
いくらなんでも申し訳なさすぎる…。
心配していると、陽希は笑みを零した。
「声は素っ気ないのに、すげぇ優しいこと言うんだよな…由依は。そのギャップが可愛くてたまらないんだけど。」
「優しいとかじゃなくて、あくまで実際に起こり得る可能性を言っただけで……」
「ん、そういうことにしとく。でもさ、俺だって由依が濡れて風邪ひいたりしたら嫌だから。そこで、解決策。」
そう言った陽希は、傘を反対側の手に持ち替える。
そして、空いた手を私の肩に回したかと思うと、体が触れ合うぐらい傍に引き寄せた。