俺は、お前がいいんだよ。

「こっ、こんなところで何言ってるの!?」


「仕方ないだろ?言葉にしたかったんだから。特に、由依への“好き”って気持ちは。」


「…………。」


そういうこと、サラリと言わないでよ…。


顔、熱くなってきたじゃない…。


心臓の音も、ドキドキどころかバクバクに変わってきたし…。


落ち着きたくて深呼吸したけれど、効果は殆ど見られなかった。


「あ、あの……帰るの遅くなったけど、陽希は予定とか何も無かった?」


なんとか気を紛らわせようとして、話題を変えてみる。


それでも、一度…速くなった鼓動は、勢いを留めたままだ。


「俺は特に予定ないから平気。」


「そ、そう…。でも、私が雷嫌いじゃなければ、もっと早く帰れてた…って思うでしょ?陽希の時間、無駄にしちゃったね…。」


なんか、イヤミな言い方…。


“迷惑かけてごめん、傍に居てくれて…ありがとう”


その素直な気持ちだけ言えればいいのに…。


今の私の態度には、さすがに陽希も呆れるだろうな…。


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