俺は、お前がいいんだよ。
「そんなことねぇよ…。」
「えっ…」
「俺の時間、無駄になんかなってない。由依と一緒にいられる時間は、全部…大切なものだから。」
「大切……?」
「ああ。今日は…俺が知らなかった、由依の新たな一面を知ることが出来たし…。」
新たな…って言っても、雷嫌いな一面なんですけど。
あんな恥ずかしいところ、正直…見られたくなかった…。
中学の時なんて、一部の男子たちに“雷にビビり過ぎ”って笑われたことあるぐらいだし。
さっき図書室に居た時、陽希も表向きは笑ってなかったけど、もしかしたら心の中では…
「陽希…」
「どうした…?」
「私の過剰なぐらいの雷嫌いなところ、どう思った?」
「えっ…?」
「腹立たしかった?それとも、可笑しかった?」
疑問を投げかけると、陽希は首を横に振る。
肩を抱いていた手が、私の頭にフワリと乗せられた。
「そんなこと、思ってねぇよ。誰にでも苦手なものの一つや二つ…あるんだからさ。それを…腹立たしいとか、可笑しいとか、そんな風に思ったりするわけねぇじゃん。」