俺は、お前がいいんだよ。
「ほ、本当に…?」
「ああ。俺は由依が雷を怖がってるの見て、その気持ちを何とか和らげたい…って思った。早く、雷が収まることを祈りながら。」
「そっか……。」
そうだよね…。
図書室で抱きしめてくれた時も、今も…。
私を心配して気遣ってくれる優しさに、裏なんてない。
全部、陽希の素直な気持ちなんだ。
そんなの、今までの陽希の言動を見ていれば分かることなのに…。
優しさを疑うなんて、何やってんだろう…。
キュッと唇を噛み締めた。
「ご、ごめんなさい…。」
「由依…?」
「私、中学の時…男子に雷嫌いのことで笑われたことあったんだ。それで、陽希も言葉では心配してくれてるけど、心の中では…違うんじゃないかって疑った…。最低なことして、本当にごめんなさい…。」
立ち止まって頭を下げる。
今ので、一気に嫌われちゃっただろうな…。
自分に嫌気がさして、目に熱いものが込み上げた時だった。
「由依、顔…上げて?」
降ってきた優しい声に戸惑いながら、ゆっくり顔を上げる。
次の瞬間、陽希は私に唇を重ねた。