俺は、お前がいいんだよ。

そっか……。


そうだったんだ…。


「由依、少し雨足が強くなってきた。駅に急ごう。」


「うん…。」


陽希のどんなところに惹かれてるのか、分かった…。


素直になれなくて、素っ気ない態度をとる私も、とげとげしい言葉を放つ私も、全部…大切に想ってくれてる…。


温かく包み込んでくれてる…。


そんな優しい陽希に、心を奪われたんだ…。


「由依、俺の顔に何かついてる?」


「えっ、ど…どうして!?」


「思いっきり、ジーッと見てるから。」


「べ、別に何もついてないから大丈夫!」


目を泳がせながら、慌てて視線を逸らす。


無意識のうちに陽希を見つめてたんだ、私…。  

照れくさくて、頬がカアッと熱くなるのを感じていると、隣からフッと笑う声が聞こえてきた。


「もう少し、何も言わなければ良かったかな…。俺を見つめる由依、上目遣いで可愛かったから。」


「なっ、何言ってるの!?陽希は背が高いから見る時は自然に上目遣いになっちゃうの!」


「そうなんだけどさ、今のは…すげぇドキドキさせられた。今までと…なんか違うような、そんな感じだったんだ。」


その言葉に驚いた私は、陽希に視線を向けた。


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