俺は、お前がいいんだよ。
図書室に着くと、恵理子は小さな個室へと入った。
この高校の図書室は広くて、静かに読書や自習が出来る小さな個室が5つほどあるのだ。
「んで、どういうことなの?」
テーブルに向かい合わせで座り、ニンマリと笑う恵理子に苦笑いを浮かべる。
まるで、取り調べみたい…。
そう思いながら、私は誤解を解くため事情を説明した。
「じゃあ、昨日…500円玉を拾ってくれた男の子が瀬ノ内君だったの!?」
「うん…。」
「そうだったんだ…。それ、他の女の子たちだったら歓喜の悲鳴をあげたくなるレベルだよ。」
興奮気味に話す恵理子に、少し顔がひきつってしまった。
「それより、恵理子…どうして瀬ノ内君のこと知ってるの?あの人、他の中学出身…だよね?」
「っていうか、逆に由依は知らなかったの?入学式の日から、カッコいい男の子だって噂されてた人だよ?」
「し、知らない…。」
もしかしたら、耳に入っていたかもしれないけど、そのまま受け流してたんだろうな…私。
そういうの、興味ないから。