俺は、お前がいいんだよ。
「いいよ、教室に戻らなくても。」
「だ、だけど…」
「伊織ちゃんなら、邪魔とは思わないから。他の女の子たちみたいに、キャーキャーはしゃぐタイプじゃないし。」
まあ、確かに…そういうことは、今までしたことない。
それなら、お弁当…全部食べきっちゃおう。
そそくさとお弁当を広げた。
「そう言えば、伊織ちゃん…陽希と付き合い始めたんだよね?」
「あっ、うん…。陽希から聞いたの?」
「連休明け早々に言われたよ。俺に釘さしておきたかったんじゃない?」
「どうして…?」
「それだけ伊織ちゃんが好きなんだよ、アイツ。“俺の女に手を出すな”って心の声が、暗に聞こえてくるような気がした。」
「えっ…」
今の聞いたら、心臓がドクンッ…って跳ね上がった。
なんだか、嬉しい…。
私を想ってくれてる陽希の気持ちが、こんなにも嬉しいものだなんて…。
自然と顔が綻ぶのを感じた。