俺は、お前がいいんだよ。

「いいよ、教室に戻らなくても。」


「だ、だけど…」


「伊織ちゃんなら、邪魔とは思わないから。他の女の子たちみたいに、キャーキャーはしゃぐタイプじゃないし。」


まあ、確かに…そういうことは、今までしたことない。


それなら、お弁当…全部食べきっちゃおう。


そそくさとお弁当を広げた。


「そう言えば、伊織ちゃん…陽希と付き合い始めたんだよね?」


「あっ、うん…。陽希から聞いたの?」


「連休明け早々に言われたよ。俺に釘さしておきたかったんじゃない?」


「どうして…?」


「それだけ伊織ちゃんが好きなんだよ、アイツ。“俺の女に手を出すな”って心の声が、暗に聞こえてくるような気がした。」


「えっ…」


今の聞いたら、心臓がドクンッ…って跳ね上がった。


なんだか、嬉しい…。


私を想ってくれてる陽希の気持ちが、こんなにも嬉しいものだなんて…。


自然と顔が綻ぶのを感じた。

< 151 / 350 >

この作品をシェア

pagetop