俺は、お前がいいんだよ。

「もしもし…」


『あ、由依?俺だけど、今…電話大丈夫か?』


「うん、ちょうどお昼食べ終わったとこだし、少しなら平気。」


なんか、素っ気ない声になっちゃった…。


電話が掛かってきて嬉しく思ってるんだから、もっと明るく話せるでしょうが…!


『分かった。あのさ、今日…急に学校休んでごめん。』


「そんなの、気にしないでよ。それより、妹さんの具合…どうなの?」


『近所の医者に連れて行って診てもらってきたけど、風邪らしい。薬もらって、さっき帰って来たところ。』


「そうなんだ…。あ、あの…ご両親は仕事?」


『ああ。二人とも会社の研修旅行で一昨日から海外に行ってるんだ。だから、妹の看病するの…俺しかいなくてさ。』


「そっか……。」


一人で看病は、大変だよね…。


何か私に出来ること…ないかな。


頭の中で考えていると、電話の向こうで陽希がフッと笑った。


「どうしたの…?」


『いや、なんか…由依の声を聞けたのが嬉しいと思ってさ。』


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