俺は、お前がいいんだよ。
ドクンッ…と心臓が跳ねる。
瞬く間に頬が熱を帯びた。
「な、何言ってるの…!大げさだよ!」
『そんなことねぇよ。今日、初めて由依の声を聞いたんだから。嬉しいに決まってんだろ。』
「………。」
直球な陽希の言葉が胸をくすぐる。
照れくさいながらも、笑みが零れてしまうような温かい気持ちが、心の中いっぱいに広がった。
『あ、悪い…。妹が呼んでるから電話切るよ。』
「分かった。妹さんの熱、早く下がるといいね…。」
『ありがと。じゃあ…またな。』
「うん、またね…。」
少し名残惜しく感じながら電話を切ると、何やら視線を感じた私。
隣に目を向けると、柏木君がぎこちなく笑った。
「伊織ちゃん、すげぇ幸せそうな顔。陽希効果だよな、どう考えても。」
「そ、そう?普通だよ、普通!」
平静を装うけれど、ドキドキが治まらない心。
柏木君の的確な発言を、素直に肯定しているように感じた。