俺は、お前がいいんだよ。
「伊織ちゃん、今の表情は…陽希以外の男には見せない方がいいよ。」
「えっ?」
「……ヤバいから。」
「や、ヤバい…?そんなに変顔になってるの!?おかしいな…。顔は平常でいるつもりなんだけど、それが…かえって逆効果になってるのかな。」
どんな顔してるのか自分で確認したい…。
ソワソワする私を見て、柏木君は吹き出すように笑う。
「いやいや、“ヤバい”の意味違うから。でも、その伊織ちゃんなりの解釈の仕方が、また可愛い。」
「は、はい…?」
何が可愛いのかサッパリ分からず、首を傾げた。
まあ、いいや…とりあえず分からないままで完結させよう。
それよりも、一人で妹さんの看病をしている陽希のために、何か出来ることがないか探す方が先決。
うーん、そうだなぁ……。
あっ…!!
夕ご飯を作りに行くのは…どうだろうか。
妹さんの看病しつつ、夕食を作るのも大変だと思うし…。
よし、決定。
心の中で強く頷いた私は、柏木君に視線を向けた。
「あの、柏木君…!お願いがあるんですが…」