俺は、お前がいいんだよ。
柏木君が自ら…!?
私は直ぐに首を横に振った。
「さすがに、案内してもらうのは悪いからいいよ!!だって柏木君、部活あるでしょ?」
「用事あるって言って休むから平気。」
「でも、やっぱり迷惑だし…。」
「陽希の家、ちょっと大通りから中に入ったところだから分かりにくいんだ。地図で教えるより一緒に行く方が確実だよ。それに、俺の家も陽希の家のすぐ近くだから。」
なるほど…。
だったら、案内してもらった方が良さそう…。
初めて行く場所って、地図を見ながら行っても道に迷うことあるし…。
「そ、それじゃあ…宜しくお願いします。」
頭を下げると、柏木君は柔らかく笑うと掴んでいた私の手を離した。
「そんなに畏まんなくていいって。」
「う、うん…。」
コクコク頷くと、柏木君は再びパンを食べ始めた。
陽希の家かぁ…。
男の子の家に行くなんて、初めてだ。
なんだか、緊張するなぁ…。