俺は、お前がいいんだよ。
今、普通に話し掛けてくれたよね…柏木君。
気まずい状態が続くのを覚悟していただけに、少し驚きながらもホッとしている自分がいた。
「陽希の家までは歩いて10分ぐらい…かな。俺
、歩くスピード速かったら言ってね。」
「りょ、了解…。」
10分なら、あっという間に着いちゃうな…。
……って、その前に肝心の買い物を済ませないと!
「あ、あの…柏木君!近くにスーパーって、ある?」
「スーパーだったら、この大通り沿いを少し進んだところにあるけど、どうして?」
「えっと、陽希と妹さんに夕ご飯を作ろうと思ってるんだ…。だから、材料を買って行きたくて…。」
「おっ、夕ご飯!?伊織ちゃん、料理…得意なんだ!」
目をキラキラと輝かせる柏木君に、私は首を横に振る。
「得意ってほどじゃないよ、ただ…作るのが好きなだけだから…。」
「いや、伊織ちゃんの手料理は美味いこと間違いナシでしょ。俺は料理とか全然作らないから、尊敬する!」
尊敬だなんて、大げさだよ…。
思わず苦笑した。