俺は、お前がいいんだよ。
「えっと…、素直じゃない私を温かく包んでくれる優しいところとか、いっ…一途に想ってくれてるところ……。」
呟くように声に出す。
心臓は早鐘を打つようにバクバクと鳴り響いている状態だ。
「伊織ちゃん、顔…真っ赤!」
「そ、そんなに見なくていいよ。恥ずかしいから…。」
柏木君に見られないよう、買い物袋を持っていない方の手で慌てて顔を隠す。
でも、熱は顔だけじゃなくて耳まで広がってしまった。
「……伊織ちゃん、可愛い。」
「そんなわけないし…!変な冗談…言わないでよ…。」
「冗談じゃなくて、紛れもない事実だよ。陽希だって、今の伊織ちゃんを見たら…同じように感じるんじゃない?」
「い、いや…それは無いと………あっ!!」
言葉の途中で発した大きな声に、柏木君が目を見開く。
「伊織ちゃん、どうしたの?」
「この状態で陽希の家に行くのは恥ずかしいな…と思って。」
ゆでダコみたいな顔、あまり見られたくないし…。