俺は、お前がいいんだよ。
「伊織ちゃん、大丈夫?多少…落ち着いた?」
「う、うん…もう大丈夫!そろそろ行こうかな…。あの、付き合わせちゃって…ごめんね。」
「いいよ。伊織ちゃんと一緒に居るのは全く苦じゃないから。」
柏木君、優しいから気を遣ってくれてるんだな…きっと。
苦笑いしながら立ち上がろうとした時だった。
「あっ、柏木君……小指の付け根ところ、擦り傷があるよ?」
「本当だ、いつの間に…。」
柏木君は少しビックリした様子で傷を見ている。
私はバッグの中から絆創膏を取り出すと、小指の付け根にペタッと貼った。
「えっ!?少し擦りむいてる程度だから絆創膏なんていいのに…。」
「でも、そのままにしておくと…傷口に何か触れたりした時に痛むよ?膿んだりしたら大変だし、帰ったら消毒した方がいいかも。」
「………。」
瞬きをしながら絆創膏の貼られた部分を見つめる柏木君。
フッと笑みを零した。