俺は、お前がいいんだよ。

「あ…、ビックリさせてごめん…。さっき、伊織ちゃんの気持ちを聞いたから、告白はしないでおこう…と思ってたのにな。」


「柏木君…」


「でも…自分の気持ちを口にしたら、なんだかスッキリした…。」


ハハ…と気まずそうに笑う柏木君を見たら、胸が何かに掴まれたかのように苦しくなった。


「あ、あの…ごめんなさい…。私、柏木君の想いには応えられない……です。」


「うん…。ちゃんと返事してくれて、ありがとう。」


柏木君は柔らかい笑みを浮かべる。


「陽希と伊織ちゃん、お似合いの二人だと思うよ。陽希への告白、頑張ってね…!」


「あ、ありがとう…。」


柏木君、優し過ぎるよ…。


背中を力強く押してくれる温かい言葉。


私は、目頭がジワリと熱くなるのを感じた。


「じゃあ、公園…出ようか。」


「うん…。」


小さく頷いた、その時…。




 
「誠、それに…由依?」


聞き覚えのある声が耳に届く。


視線を向けると、公園の入り口のところに立っている陽希の姿が目に映った。


< 176 / 350 >

この作品をシェア

pagetop