俺は、お前がいいんだよ。
「あ…、ビックリさせてごめん…。さっき、伊織ちゃんの気持ちを聞いたから、告白はしないでおこう…と思ってたのにな。」
「柏木君…」
「でも…自分の気持ちを口にしたら、なんだかスッキリした…。」
ハハ…と気まずそうに笑う柏木君を見たら、胸が何かに掴まれたかのように苦しくなった。
「あ、あの…ごめんなさい…。私、柏木君の想いには応えられない……です。」
「うん…。ちゃんと返事してくれて、ありがとう。」
柏木君は柔らかい笑みを浮かべる。
「陽希と伊織ちゃん、お似合いの二人だと思うよ。陽希への告白、頑張ってね…!」
「あ、ありがとう…。」
柏木君、優し過ぎるよ…。
背中を力強く押してくれる温かい言葉。
私は、目頭がジワリと熱くなるのを感じた。
「じゃあ、公園…出ようか。」
「うん…。」
小さく頷いた、その時…。
「誠、それに…由依?」
聞き覚えのある声が耳に届く。
視線を向けると、公園の入り口のところに立っている陽希の姿が目に映った。