俺は、お前がいいんだよ。
「料理って、何…?」
「陽希の家で夕ご飯を作ろうと思って…。さっき、駅前のスーパーで材料を買って来たんだ。」
手に提げていた買い物袋を腰の辺りまで持ち上げた。
「えっ、でも…どうして?」
「陽希、一人で妹さんの看病していて大変だろうな…と思って、私も何か力になりたかったんだ…。それで、夕ご飯を作ることを思いついたの。」
「…………。」
陽希が固まってる…。
何も言わずに来ちゃったのは、やっぱりマズかったかな。
「か、勝手なことしてごめんね…。迷惑だよね、突然…家まで押しかけたりするのは。」
気まずさを感じながら俯くと、陽希は私をギュッと抱き締めた。
「誰が迷惑だなんて言ったんだよ。」
「でも、今…固まってたから……。」
「違うって。由依が俺のために家まで来てくれたことが嬉しくて、すぐに言葉が出ずに固まってたんだよ。」
そ、そうだったの…?
パッと顔を上げると陽希と目が合った。