俺は、お前がいいんだよ。
「由依、何もそんな部屋の隅に置かなくても…。ソファーの上に置いてもらって構わねぇよ?」
背後から声を掛けられた私は、勢いよく振り向く。
キッチンに居たはずなのに、いつの間に……。
気配が無かったからビックリした…。
「いや、でも…邪魔になると悪いから、ここで大丈夫だよ…。」
「全然、邪魔にならないけどな。妹は部屋で寝てるから、リビングを使うのは俺ら二人だけだし。」
その言葉にドキッと心臓が音を立てて跳ねる。
ますます落ち着かなくて、視線をあちこちに向けた。
「とりあえず、ソファーに座れよ。何か飲み物…用意する。」
微笑む陽希に、私は首を横に振る。
「い、いいよ…!私、料理に取り掛かるから。」
ぎこちなく答えて、キッチンに足早に入った。
こんなソワソワした状態で、ソファーに座って、ゆっくり飲み物を飲む余裕なんてないよ…。
料理の準備をスタートさせた方が、少しは気が紛れる…。
材料を並べて用意を始めると、陽希が私の傍にやってきた。