俺は、お前がいいんだよ。
「あーっ!!お兄ちゃんが知らない女の人を連れ込んで、おそってる!!」
突然、悲鳴にも近い声がキッチンに響きわたる。
ビックリして声の方に視線を向けると、キッチンの入り口で、赤い顔をしながら口をパクパクさせているパジャマ姿の女の子が目に映った。
「うわっ、彩名(アヤナ)!!」
陽希も驚いたらしく、慌てて私から離れる。
「いきなりデカい声出すなよ。つーか、いつ起きたんだ?」
「ほんのちょっと前!それより、お兄ちゃん…その人なんなの!?今まで、女の人を連れ込むことなんて無かったのに…!」
「連れ込むだの、襲うだの、どこで覚えてくんだよ…そういう言葉。」
若干、呆れた表情の陽希はため息を零した。
「パパもママもいないところで、こんなフシダラなことっ……」
アタフタしながら話す妹さんの傍に駆け寄った陽希。
妹さんの口を片手で塞いだ。
「彩名、とりあえず落ち着け。声がデカ過ぎて近所迷惑になる。」
陽希は盛大なため息を零した後、妹さんの頭をポンポンと撫でた。