俺は、お前がいいんだよ。

「じ、実は……陽希にキスされた時、驚きのあまり、頭が真っ白になってフリーズしたんだ…。だから、その…感触とかもハッキリ覚えてないし、未だに実感がなくて…。」


「そうだったんだ…。そう言えば、あの時…表情が固まってた気がする。」


「キスしてくれた陽希の気持ち考えると、こんなアヤフヤな記憶なのが恥ずかしくて、情けなくて、とにかく…ごめんなさい。」


「いいよ、謝んなくて。」


「で、でも…ファーストキスだったし、ちゃんと覚えていたかったかな…と思って。」


胸の奥に隠していた本音。


俯いたまま、小さな声で呟くと陽希は私の頭を優しく撫でた。


「何それ、可愛すぎるだろ。」


「は、はい?」


呆れるのかと思ってただけに、拍子抜けしてしまう。


ゆっくり顔を上げると、陽希の照れくさそうな顔が目に映った。


「俺を…あまりドキドキさせないでくれる?」



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