俺は、お前がいいんだよ。
「うそ…」
二台の自動販売機の間。
その奥の方にまで小銭が転がっていたからだ。
しかも、500円玉。
とれるかな…。
隙間に手を入れて取ろうとしたけれど、届きそうにない。
何か細長い棒とかあれば取れそうだけど、周りに…めぼしいものは見当たらないし…。
どうしよう…。
何か方法がないか、頭の中で考えていた時だった。
「あのさ、自販機…使いたいんだけど。」
突然飛んできた低い声にビクッと肩が上がる。
そちらに視線を向けると、一人の男子生徒が立っていた。
艶のある黒髪。
整った目鼻立ちに、形のいい唇。
長身でスタイルもいい。
こういう人をイケメンって言うんだろうな…。
普通の女子生徒ならキャーキャー悲鳴をあげそう。
私は、どうでもいいけど。