俺は、お前がいいんだよ。
Chapter*6
優しい現実に包まれて
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『伊織のヤツ…ムカつく。日直の仕事…手伝ってやったのに、“一人で出来るから余計なことしなくていいのに”だってさ。』
『お前、何様だよって感じだよな。』
また、私のこと…コソコソ話してる。
今日は教室の隅で。
『隣のクラスにいた栗山を見習えっての。』
『亜季菜ちゃん、伊織と違って…みんなに対して明るく優しくて、天使みたいな女の子だったよなぁ…。夏休み前に転校しちまったから悲しいんだけど。』
『だよなー。転校すんのは亜季菜ちゃんじゃなくて、伊織なら良かったのに。』
全部、聞こえてくるんですけど。
わざと、だよね…。
陰口するだけじゃ物足りない…ってことか。
まあ、言わせとけばいいや。
『……なあ、陽希もそう思うだろ?』
えっ…!?
今、なんて……?
すぐに振り向いて教室の隅に視線を注ぐ。
『ああ、そうだな。』
どうして……
なんで、陽希がそこにいるの…?