俺は、お前がいいんだよ。
「直さんのカフェ。実は、夏に向けてスイーツの新作メニューを考えてるらしくて、その試食を頼まれてるんだ。ぜひ、由依にもお願いしたい…って言われてるんだけど、どう?」
「うんっ、行きたい…!」
ガバッと顔を上げると陽希は微笑ましそうに目を細める。
「由依の声、弾んでる。」
「そ、そう?いつも通り…じゃないかな。」
「明らかに違うって。口元、緩んでるじゃん。」
唇をツンと軽く突かれてビックリした私は、口をパクパクさせた。
「えっ、陽希!?」
「可愛い表情してる由依のせい。」
「そんなこと言われると恥ずかしいよ…。」
絶対、顔が赤くなってる。
「あ、あのさ…そろそろ離してもらいたいんですが…。誰か来るかもしれないし…。」
「大丈夫、この校舎の屋上は殆ど生徒が来ねぇから。仮に見られたとしても、見せつければいいって。」
そんなことになったら、恥ずかし過ぎて蒸発しそう…。