俺は、お前がいいんだよ。

「そ、それじゃあ…私に何の用事が…」


少し首を傾げると、瀬ノ内君は肩に掛けているスクールバッグの中に手を突っ込んだ。


「これ、見覚えある…?」


その言葉と共に、バッグの中から取り出したもの。


それは、水色に白いドット柄の折りたたみ傘と淡いピンク色のタオルハンカチだった。


「えっ!?これ、私の折りたたみ傘とハンカチ…。」


思わず、大きな声が口から飛び出す。


驚きのあまり、傘とハンカチを凝視したまま固まってしまった。


見間違いでも何でもない。


それらは、私が中学生の頃に使っていたものだった。


「やっぱり、そうだったんだな…。昨日、会った時から、そんな気がしてた。」


途端に顔を綻ばせる瀬ノ内君。


嬉しそうに声を弾ませる姿に、私は少し戸惑ってしまった。



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