俺は、お前がいいんだよ。
「伊織に本気だなんて、どうかしてるっての。バカバカしい。」
尻餅をついてた男子は立ち上がると頭をクシャクシャと掻く。
そして、盛大な溜め息を零した。
「もう、行こうぜ。」
私たちの横をスタスタと通り過ぎていく男子3人。
私に背を向けていた陽希は、こちらに振り向く。
その鋭い視線は男子たちを見ていた。
「アンタら、二度と由依に近付くな。」
冷たく低い声に反応した男子たちは、鬱陶しそうな顔で陽希を見た。
「……言われなくても、そのつもりだ。こっちだって、会いたくもねぇ。」
「ずっと睨んでんじゃねぇよ、怖ぇな。」
「亜季菜ちゃん、行こう?」
呼びかけられた栗山さんは、“う、うん…”と戸惑った様子で頷く。
無理もないよね。
いきなり、こんな状況になったら驚くに決まってるし。
男子たちの後に続いて通り過ぎようとした栗山さんに視線を向けると、ピタリと足を止める。
そして、私の耳元に顔を近付けた。
「伊織さんの彼氏、カッコいいね。私、欲しくなっちゃった…。」