俺は、お前がいいんだよ。

「………」


ニコッと笑った栗山さんは足早に男子たちと一緒に、どこかへ行ってしまった。


どうしてだろ…。


栗山さんの笑顔、なんだか…怖さを感じた。


中学の時みたいな、可愛くて天使のような笑顔と変わりないはずなのに…。


それに、今の言葉……。


欲しくなった…って、どういう意味なんだろう。


陽希を見て、栗山さんも彼氏が欲しくなった…っていうことなのかな…?


それとも……。


「…今の女、由依に何を言ってたんだ?」


陽希に顔を覗き込まれた私は、ビックリして持っていたクレープを落としそうになってしまった。


「え、えっと……陽希のこと“カッコいい”って言ってただけ…。」


「ふーん…。それならいいけど…」


「陽希?」


「いや、何でもない。」


少し難しい顔で栗山さんたちが歩いて行った方を見ている陽希。


どうしたのかな……。


不思議に思っていると、陽希の視線が私に向けられる。


その表情は、とても切なそうだ。



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