俺は、お前がいいんだよ。

「俺が、もっと早く由依を探していれば、こんなことにならなかったかもしれないのに…。ごめんな…。」


「そ、そんなっ…。陽希が謝ることじゃないよ…。あの人たちに会ったのは偶然なんだから。」


そう、ただの偶然。


陽希は何も悪くない。


「でも、色々と言われてたんだろ? 」


目元に残っていた涙を親指で拭う陽希に、コクンと小さく頷いた。


「まさか会うとは思わなかったから、ビックリしたし嫌だったけど、陽希が来てくれたら自然に心が軽くなったよ…。」


暗く沈んでいた私の心に光が差し込んだようだった。


「正直、まだ言い足りなかったけどな。」


「あんなに怒ってる陽希、初めて見た…。」


「本当は、思いっきり殴ってやりたいぐらいだったけど、たくさんの人がいる場所だし、騒ぎが大きくなって由依を困らせんのも嫌だと思って…抑えた。」


「……そうだったんだ。でも、陽希の言葉…とても嬉しかったから、それだけで十分だよ…。ありがとう…。」


私は、両手に持っていたクレープの一つを陽希に手渡した。



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